「なんか知らないけと、すね毛が片方だけ濃い…」
そんなことを悩んでいる方も多いでしょう。
男性、女性を問わず、すね毛が片足は薄くて片足は濃い、という事象は多々発生しています。
でも一体どうして片方のすね毛だけ濃くなるのか?
ここでは、すね毛が片方だけ濃く生えてくる理由を解明します。
目次
すね毛が濃くなる原因は?
まず足のすね毛がそもそも濃くなる理由を解説しましょう。
男性ホルモンの増加のせい
すね毛だけではなく、頭髪も含めて、人間の体毛はアンドロゲンという男性ホルモンによってコントロールされています。
このアンドロゲンが多く分泌されれば発毛が促進され、少なければ体毛が薄くなるのです。
したがって、このアンドロゲンの分泌が多い人ほどすね毛が濃くなるのです。
カミソリによるダメージ
昔からムダ毛をカミソリで剃るとその毛が太くなる、ということが言われていますが、これは事実ではありません。
しかし実際にカミソリで剃った後、ムダ毛が太くなったように「見える」のも事実です。
これは実はムダ毛が太くなったのではなく、多くなったからです。
そもそも体毛は身体を守るために生えています。
したがって、頭、すね、指の甲などすぐに骨がある部位は皮膚も薄く、身体の内部に刺激や打撃が伝わりやすいために、体毛が濃くなっているのです。
これに対して、カミソリは大きな刺激を皮膚に与えます。
なぜならカミソリは毛を剃るだけではなく、実際には皮膚も削っているからです。
したがってカミソリは皮膚にとって非常に大きなダメージを与えるものなのです。
ダメージを与えられた皮膚は、次に同じ刺激が来た時に自分を守れるように、その部分の体毛を増やして備えます。
したがって、カミソリで剃った部分はムダ毛が増え、見た目にはムダ毛が太くなったように映るのです。
したがって、すね毛の濃いのを嫌ってカミソリで剃れば、さらにすね毛は濃くなるわけです。
思春期
男女とも思春期にはホルモンバランスが崩れます。
この時、男性ホルモン分泌が一層盛んになります。
この影響によって、ニキビができたり、フケが大量に発生したりするのです。
そしてその男性ホルモンの分泌過多はアンドロゲンに関しても言えます。
思春期にはアンドロゲンの分泌も過剰になるため、すね毛も濃くなるわけです。
遺伝
家族に体毛が多い人がいる場合は自分も遺伝によって濃くなります。
左右ですね毛の濃さが違う理由は?
以上の理由ですね毛が濃くなってしまうわけですが、それではなぜそのすね毛の濃さが左右の足で異なるのかという点について解説して行きましょう。
具体的にその理由は以下の通りです。
遺伝子の影響
上で体毛が濃くなる原因の1つに遺伝を挙げましたが、この遺伝子がすね毛の左右非対称に大きく関連しています。
その遺伝子とはMyo31DFとMyo61Fです。以下は東京理科大学の松野健治教授の研究グループが明らかにしたことですが、Myo31DFもMyo61Fも「ミオシン」というタンパク質を生成する遺伝子です。
ミオシンは細胞の成長に必要なタンパク質の運搬役です。
実はこのMyo31DFとMyo61Fはその細胞を成長させるタンパク質を、左右それぞれ逆方向に運びます。
ですから何かの理由で片方の遺伝子の働きが活発になったり、片方の遺伝子が働かなくなったりすると、身体の左右のどちらかだけの細胞が発達してしまい、身体の中に左右非対称なものが生まれてしまうのです。
すね毛でもこのことが起こっています。
つまりMyo31DFとMyo61Fの働きが均等ではないので、片足のすね毛の毛母細胞だけが細胞分裂を盛んに行い、その結果そちら側のすね毛だけが発毛が促進されて、濃くなってしまうのです。
左右の足で筋肉の付き方が違う
体毛の発毛は毛母細胞だけではなく、その生えている部分の筋肉の状態にも左右されます。
たとえばすね毛だけではなく眉毛も左右非対称ですが、それは目の上の筋肉の発達具合が違うからです。
人間は驚いた時や目を見開いた時にまゆ毛を自然に上げますが、この時には目の上の筋肉が使われます。
しかしまゆ毛の両方を均一に上げる人は実は少なく、どちらかを上げる癖がついている人がほとんどです。
すると、よく上げる筋肉の方が発達し、その筋肉の上にあるまゆ毛の発毛が促され、まゆ毛の左右が非対称になるのです。
これと同じ現象が足でも起きています。
足には利き足があるように、両足を均等に使っている人はむしろ少ないのが現実です。
つまり、左右のどちらかの足をよく使うので、そちらのふくらはぎの筋肉が発達してしまうのです。
すると、筋肉が発達した方の足のすね毛の発毛が促進され、その結果片方だけすね毛が濃くなるわけです。
左右の足の骨格が違う
また筋肉の発達には骨格も影響しています。
骨格によって、筋肉に負荷がかかり、その筋肉が発達するという現象が起こるのです。
つまりそもそも、左右の足の骨格が、やはり先ほど挙げた、Myo31DFとMyo61Fの遺伝子の均等ではない働き方によって異なっているため、筋肉の発達も左右の足で異なり、その結果すね毛も片方だけが濃くなるのです。
左右で異なる精巣の大きさが原因
男性の場合、体毛をコントロールしているアンドロゲンは精巣、つまり睾丸で生成されます。
この睾丸自体が左右非対称です。
大きさの違う左右の睾丸の中の精巣は、それぞれ左右の身体をつかさどっています。
したがって、左右の精巣の大きさが違えば、身体の左右に対する発毛作用も違ってくるため、すねにおいては左右のすね毛の濃さが違ってくるのです。
睾丸の大きさが左右で異なる理由は、先ほどのMyo31DFとMyo61Fの遺伝子の影響が第1です。
しかし睾丸の大きさが極端に左右で異なる場合は、病気の可能性もあります。
特に考えられるのは精巣がんです。
ですから片方の睾丸だけが異常に大きい場合は病院を受診しましょう。
ホルモンの分泌の状況によって左右差が
女性の場合、バストの左右の大きさが異なることが悩みだったりコンプレックスだったりすることがよくあります。
そのように左右のバストの大きさが異なる原因もホルモンにあります。
特に若いころの左右非対称のバストは、左右どちらかの腕をよく使うため胸筋の片方だけが発達するから、という原因が多いのです。
しかし、30代後半~閉経期にかけて、左右のバストのサイズが変わる場合は、ホルモンのバランスの影響が大きいです。
この世代で左右のバストの大きさが変わるのは、バストの大きさを左右する乳腺が、ホルモンの影響で片方だけ発達するためです。
これを「ホルモンによる刺激症状による左右差」と言います。
これと同じことが男性における男性ホルモンとすね毛の関係でも起こります。
つまり、アンドロゲンが左右の足に均等に働かず、片方だけ過剰に分泌されてしまうことがあるので、それによって片足のすね毛が濃くなってしまうのです。
すね毛が片方だけ濃い理由をまとめると…
すね毛が左右の足で濃さが違う理由は、以下の通りだということを解説しました。
- 身体の左右それぞれを発達させる遺伝子の働きが均一ではないから
- 左右の足の筋肉の発達が違うから
- 左右の足の骨格が違うから
- 精巣の大きさが左右で違うから
- 男性ホルモンの分泌が左右で均一に行われないから
つまり片足のすね毛だけが濃い理由は様々な原因から起こっているということです。
これらを一個一個改善していけば両方綺麗に揃うことが可能かもしれませんが、それは不可能です。
どうしても綺麗に揃えたいのであれば、
・両方とも完全に脱毛する
という物理的対策が一番良いでしょう。